近年、個人開発によるゲームのクオリティが飛躍的に向上しているのを実感します。
Unityをはじめとした高性能なゲームエンジンの登場により、個人でも大手ゲーム会社と同等レベルのゲームを開発できる環境が整いつつあります。努力と技術力さえあれば、個人であってもハイクオリティな作品を世に出すことが可能な時代になったのです。
特に、Unity 6の登場などゲームエンジン自体のグラフィック性能も目覚ましく進化しており、リアルで美しいビジュアル表現も手の届くものになりました。これにより、開発者のビジョンを忠実に形にできる土台が整ったと言えるでしょう。
しかし、その一方で気になるのが「売上」の話です。
ゲームの開発環境が整ったことに比例して、ゲームのリリース本数も爆発的に増加しています。たとえばSTEAMでは、10年前と比べて年間のリリース数が約10倍に増えているというデータもあり、今や無数のゲームが日々市場に投入されています。
このような飽和状態の中では、当然ながら一つ一つのタイトルが得られる注目度や売上は下がってしまいます。実際、売れているゲームの多くは圧倒的なクオリティと話題性を持った一部のタイトルに集中しており、それ以外のゲームは埋もれてしまうのが現状です。
このように、ゲームの品質が向上する一方で「売ること」の難易度は格段に上がっています。
つまり、今の時代においてはただ良いゲームを作るだけでは不十分です。ゲームをどう世の中に届け、知ってもらい、遊んでもらうかという“マーケティング”こそが、成功への鍵を握っているのです。
誰でもゲームが作れる時代になったからこそ、売れるための工夫や戦略が求められる。これが、私がいま大きな懸念として抱いていることです。
作るだけで売れる時代は終わりました。これからは、しっかりとマーケティングに取り組んだ者だけが生き残れる時代なのです。