ゲームの体験版って、今どれくらい見かけますか?
特にインディーゲームに関して言えば、体験版があるタイトルはかなり少ない印象です。感覚的には10本に1本あるかないか。つまり、全体の1割にも満たない程度でしょう。
では、なぜ体験版が少ないのでしょうか?
「体験版を出しても売れない」という心理的ハードル
開発側としては、体験版を出してしまうと“プレイして満足されてしまうのではないか”“買ってもらえないのではないか”という不安があるのだと思います。とくに小規模なチームや個人開発のゲームでは、売上は死活問題。だからこそ、慎重になるのも分かります。
ただ――ちょっと考えてみてください。
「見た目だけで買う」には、相当の勇気が必要
あなたがプレイヤーだったとして、体験版のない全くの新規タイトルを、いきなり買おうと思えるでしょうか?
正直、なかなか手が出ませんよね。
STEAMには返品制度がありますが、それでも「購入→プレイ→返品」という一連の流れは心理的に面倒だし、ハードルが高い。
そんなとき、体験版があれば「まずは遊んでみよう」という軽い一歩が踏み出せます。
続編や有名IPと、インディーゲームは違う
すでに知名度のあるタイトル、たとえば有名シリーズの続編や人気IPのリメイクなどは、体験版がなくても安心して買えるものです。むしろ、その場合は体験版によってネガティブな印象が広まるリスクすらあるかもしれません。
でも、インディーゲームは基本的に「新しいタイトル」です。
だからこそ、プレイヤーに安心してもらう仕組みが必要であり、それが体験版の役割なんです。
STEAMの特性を活かす
実はSTEAMでは、体験版を提供しているゲームの方が、検索やウィッシュリスト、デモイベントなどを通じて「目につきやすい」「紹介されやすい」という傾向があります。つまり、体験版を出すことがマーケティングにもなるわけです。
体験版は、インディーゲーム最大の“攻めの武器”になる
予算も知名度も限られたインディー開発にとって、プレイヤーとの信頼関係を作るのは簡単ではありません。SNSでの発信やレビュー頼みだけでは限界がある。
だからこそ、「まず遊んでもらう」ことが最大の近道。
体験版は、リスクと引き換えに確実なメリットをもたらす“攻めの選択肢”です。
おわりに:体験版を「出さない理由」を見直してみる
インディーゲームにおいて、体験版は「売れなくなるリスク」ではなく、「知られないリスク」を回避する手段。
STEAMというプラットフォームの特性を活かすなら、体験版こそが勝負をかけるための第一歩になるのではないでしょうか。